【内水浸水対策の種類】土のう、簡易止水板、シート、ウォールを比較
浸水対策を検討していく中で「いろいろな種類があって、どれを選ぶべきなのか分からない」と困っていませんか?
調べてみると内水・外水対策には土のうをはじめ、水のう、簡易止水板、止水シート、ウォール型止水板など様々な種類の浸水対策方法があることが分かります。
各社のホームページやカタログを見ても「それぞれどのような特徴があるのか分からない」「何を基準にして選べばいいのか迷っている」など不安をお持ちの方も多いかと思います。
そこで今回は、浸水対策方法を選ぶための基準と、よく比較される止水パネルなど製品の特徴、それぞれのメリット、デメリットを紹介したいと思います。
内水浸水対策の方法を選ぶための4つの基準
どの浸水対策にするかを考える上で、4つの基準を押さえることをオススメしています。
偏った基準のみので比較にならないよう4つの基準のバランスで考慮しましょう。最も目的や状況に沿った対策がどの方法かを比較検討しやすくなるかと思います。
浸水対策の方法基準①価格
価格は大切な判断基準の1つになります。
というのも、方法によってかかる費用が大きく異なるからです。ホームセンターやインターネットで数百円で購入できるものから、業者に依頼して数十万円、規模によっては数百万円かけるケースもあります。
まずは、浸水対策をする目的や場所に合わせておおよその予算を考えてみるのが良いでしょう。
浸水対策の方法基準②事前準備
浸水対策をするための事前準備にかける手間が、方法によって異なってきます。
購入したあと保管しておくだけで良い製品もあれば、事前に対策する建物や間口を採寸、想定する水位を決めておき、それらに合わせて工事をするなど、事前にやることのボリュームは方法によって様々です。
手間が少なければよいというわけでもないため、他の基準とのバランスを考慮しましょう。
浸水対策の方法基準③設置
有事の際、事前に準備していた対策を実行しようとしても、その場で対応する人が適切にできなければ、その効果は発揮されません。
まずは、誰がその作業をするのかを想定しておきましょう。設置するための手間や簡易さを製品のカタログや説明書で確認するなどして、対応できるかをシミュレーションしてみることが大切です。
浸水対策の方法基準④止水性能
完全止水製品は基本的にはないため、どれだけ水が漏れてくるかの想定水量で比較することになります。
浸水対策する場所によって、数センチの浸水は許容できるということもあれば、精密機械があるなどからしっかりと止水したいというケースもありますので、状況に合わせて選択するようにしましょう。
浸水対策の方法と特徴
上記、基準をもとに浸水対策方法別にメリット、デメリットをまとめました。
※同じ種類のものでもメーカーによって性能や特徴が異なるため、あくまでも参考情報として、正確には各製品の詳細を確認して選ぶようにしてください。
浸水対策の方法①土のう
価格 | 事前準備 | 設置 | 止水性能 |
---|---|---|---|
◎ | ◎ | × | × |
メリット
- 価格が安い
- 店ですぐに買える
- 保管スペースが少ない
デメリット
- 止水性能が低い
- 土の運搬・片付けが重労働
- 積む作業が難しい
‐ こんな人におすすめ
- すぐに手に入れたい
- 費用がかけられない
- 大量に必要
‐ 説明
土のうは昔から浸水対策としては最も認知、採用されている方法です。袋と土さえあれば作ることが出来るため、事前の準備がしやすいことから大量に必要な自治体などで多く使われています。
一定の止水効果はありますが、土のうと土のうの間にどうしても隙間が出来ることから止水性能は高くありません。また、一袋20kg前後にもなるため、土のうを積む作業は重労働で、水が引いた後にも運んだり、汚れた泥をきれいにする作業も発生します。積み方が悪いと崩れてしまう恐れもあるため、高齢者や女性のみしかいない場合は非常に苦労します。
実際に使う際、使った後の手間が問題で、他の方法への切り替えを検討する自治体、企業が徐々に増えています。
浸水対策の方法②水のう
価格 | 事前準備 | 設置 | 止水性能 |
---|---|---|---|
◎ | ◎ | ▲ | × |
メリット
- 土の運搬、片付けが不要
- 保管スペースが少ない
- 繰り返し使えるものが多い
デメリット
- 止水性能が低い
- 水位が高いと浮いてしまう
- 積む作業が難しい
‐ こんな人におすすめ
- 土のうよりも負担を減らしたい
- 低い水位の対策でよい
‐ 説明
土のうの「土」を「水」で代用出来るようにしたのが水のうです。
土のう袋と同様に、平時は袋分のみのスペースで保管できます。設置する際には袋の中に水を入れることで準備ができるため、土のうのように土砂の運搬、片付けが不要になります。また、乾かすことで再利用できる商品も数多くあります。止水性能や使い勝手は、ほぼ土のうと変わりません。
基本的に土は水よりも重いため、土のうは水に浮きづらいですが、水のうは水害時の水と比重が同じため、水位が高くなった際には浮いてしまう恐れがある点は注意が必要です。
浸水対策の方法③止水シート
価格 | 事前準備 | 設置 | 止水性能 |
---|---|---|---|
〇 | 〇 | ▲ | ▲ |
メリット
- 折りたためるのでコンパクト
- シートなので軽量
デメリット
- 設置の時に隙間ができやすい
- 止水性能は高くはない
‐ こんな人におすすめ
- 収納場所が限られている
- 重いものを持てる人がいない
‐ 説明
止水シートの特徴は、シートが軽いため持ち運びがしやすいこと、折りたためることでコンパクトな状態で保管できることです。そのため、止水対策製品を保管する場所を確保するのが難しい場合などにおすすめです。
シートは形状が不安定で底面と側面に隙間ができやすいため、止水性能は土のうより高いものの、一定の水漏れは発生します。設置する際には、強力な防水用テープを使用するようにし、シートの端の隙間を確実に埋めてあげることを意識するなどして、止水効果を高めてあげるとよいでしょう。
浸水対策の方法④ウォール型止水パネル
価格 | 事前準備 | 設置 | 止水性能 |
---|---|---|---|
▲ | 〇 | 〇 | ▲ |
メリット
- 事前の工事が不要
- 設置場所が自由
デメリット
- 止水性能は低い
- 費用は安くない
‐ こんな人におすすめ
- 水の流れを変えたい
- 広い範囲を囲いたい
‐ 説明
ウォール型止水板はL字の形状で、直接地面に置いて使用します。複数枚を繋げて設置するため、範囲は自由に調整が可能です。業者による採寸や工事が必要ないため、ネットで購入することができます。簡単に準備できる手軽さと、環境に合わせて配置できる柔軟性から、土のうの代わりに採用するケースが増えています。
規格品のため側面や底面に隙間が出来やすいことから止水性能は決して高くありません。しっかり止水したい間口に使うよりは、その周辺を囲うなどして「水の流れを変える」用途で使うのがおすすめです。止水範囲に比例して費用も高くなることから一定の予算は必要になってきます。
浸水対策の方法⑤止水板
価格 | 事前準備 | 設置 | 止水性能 |
---|---|---|---|
▲ | ▲ | ◎ | ◎ |
メリット
- 止水性能が高い
- 強度が高い
- 設置が簡単
デメリット
- 事前に設置工事が必要
- 費用は安くない
‐ こんな人におすすめ
- しっかりと止水したい
- 有事には簡単に設置したい
‐ 説明
止水板とは、アルミなどの金属でできた板状の止水パネルで、直接間口の下部に設置して使います。間口の寸法や環境に合わせて設置することから止水性能が高く、設置も比較的簡単に出来るのが特徴です。
事前工事が必要になることがほとんどで、業者に事前の採寸や工事の依頼が必要となるなど導入までに手間と費用がかかる傾向にあります。法人、自治体での採用が中心で、事業所や工場などで精密機械があったり、事業が停止するなどの影響が考えられる場所で、有事の際に手間を少なく、高い精度で止水したいという要望から導入されています。
浸水対策の種類と方法まとめ
今回は、浸水対策方法を選ぶための基準と、比較検討の候補に上がりやすい製品のメリット、デメリットを紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
「使いやすそうだから」「安いから」といった偏った基準のみで方法を決めてしまうことは、効果的な浸水対策にならない判断に繋がる恐れもあります。4つの基準のバランスを見ながら、目的や環境に合わせてどの方法が最適かを検討することが大切です。
今回、紹介させて頂いた内容を押さえて頂くことで、より効果的な浸水対策の検討が進めばと思います。
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浸水対策製品を探す際や、社内での検討時に1つの参考資料としてご活用いただければと思います。